Astrology_Arcturus

西洋占星術と精神世界の冒険

占星術における「ハウス」とは何か

 

ハウスとは地上からの観測において、東の地平線と黄道が交わるところ(アセンダントASC)を起点にして黄道を12分割したものであり、コペルニクス以前の天動説的な考え方に基づくシステムである。簡単にいえば「方位」と考えてもいい。

 

f:id:fr-kamiya:20150501203500g:plain

ハウスの概念

 

ハウス区分のシステムは100種類近く存在している。それらには大きく分けて、空間的な座標計算で黄道を分割する方式と、時間経過を黄道に反映させて分割する方式があり、前者を空間分割法、後者を時間分割法とそれぞれ総称する。

 

そのうち、心理面を重視する現代占星術では、時間の概念を持つ時間分割法が一般的に用いられており(プラシーダスなど)、現実に現象化するか否かを重視する古典占星術、特に「質問を占う者が理解した瞬間」のホロスコープで占うホラリー占星術では空間分割法(レギオモンタナスなど)を用いることになる。

 

心理が「時間」と関係し、現象が「空間」と関係するということについて哲学的考察を深めると面白いのだが、ここでは深く触れない。

 

ハウスには、サインとは異なり、より地上的で具体性のある物事、すなわち実際の行動領域や出来事のジャンルがハウスには示される。たとえば、家庭環境、仕事と収入、恋愛と結婚、友人関係などの状況が具体的に浮き出してくることになる。

 

まず、12ハウスは4つの領域(クオドラント)に大別される。すなわち、北の4分円(第1~3ハウス)、西の4分円(第4~6ハウス)、南の4分円(第7~9ハウス)、東の4分円(第10~12ハウス)という4つの領域だ。

 

そのうち、地平線の下に隠れている「北」と「西」の4分円は個人性を、地平線から上の「南」と「東」の4分円は社会性を示している。一方、子午線(縦軸)の右側にある「西」と「南」の4分円は受動的な性質を、「北」と「東」の4分円は自発的な性質を示している。

 

さらに、4分円の内部には、各分円の性質が強く表れるアンギュラーハウス→その性質を深化・定着させるサクシーデントハウス→各分円のテーマの最終調整と次の分円への準備を整えるケーデントハウス、という3段階のプロセスがある。これもまたハウスの性質をとらえる上での重要ポイントとなる。

 

ここまでのところをまとめると次のようになる(ハウスの意味はおおよそ)。

 

【北の4分円(個人性・自発的)】

1ハウス:アンギュラー:自分自身

2ハウス:サクシーデント:お金、資産

3ハウス:ケーデント:基礎学習、スキル、コミュ力

 

【西の4分円(個人性・受動的)】

4ハウス:アンギュラー:家族、家庭、父

5ハウス:サクシーデント:子ども、恋愛、娯楽

6ハウス:ケーデント:仕事、病気、健康

 

【南の4分円(社会性・受動的)】

7ハウス:アンギュラー:配偶者、パートナー

8ハウス:サクシーデント:死、セックス、秘密

9ハウス:ケーデント:高等教育、思想、理念

 

【東の4分円(社会性・自発的)】

10ハウス:アンギュラー:社会的地位、仕事

11ハウス:サクシーデント:友人、将来計画

12ハウス:ケーデント:深層心理、夢

 

なお、180度関係で対向する2つのハウスは共通のテーマを別角度から扱っているので、その点を考察することでも理解が深まっていく。たとえば、3ハウスと9ハウスはともに学習を意味するが、3ハウスが基本的な読み書きを意味するのに対し、9ハウスは大学レベルの学問や外国語学習を意味する。

 

また、サクシーデントがアンギュラーのリソース(資源)を表すという点も興味深い。つまり、お金(2ハウス)は個人(1ハウス)のリソースであり、子ども(5ハウス)は家族(4ハウス)のリソースであり、配偶者の収入(8ハウス)は配偶者(7ハウス)のリソースであり、給料(11ハウス)は会社(10ハウス)のリソースに連動する。

 

占星術においてハウスがこのように決まった経緯には複雑なものがあり、簡単に説明できない。いけだ笑み氏の『ホラリー占星術』(説話社)での考察が簡潔にまとまっていて読みやすいので、関心のある方は一読をおすすめする。

 

以下、私の関連ツイートを掲載する。