占星術における「天体」とは何か
ホロスコープに記された10個の主要天体(太陽・月・惑星)は10種類の「意識の焦点」を表すと考える。空間を区切る座標としてのサインやハウス、あるいは天体間の角度としてのアスペクトは、いずれも空間上の位置関係を示す概念としての存在だが、天体は現実に物質として存在している。つまり、人の意識を引きつけて焦点化する存在なのだ。
たとえば、恋する気持ちで胸が満たされているときには不思議とお腹はすかない。それは、恋愛に意識の焦点が合っていて、日常的な体のケアへ意識が向かわないためだ。これは、恋愛と関係する金星に意識が引きつけられている状態。
しかし、通常は24時間ずっと恋する気持ちではいられず、体からの欲求により意識が空腹感へ引き付けられる。これは体と関係する月に意識が引きつけられている状態。また、会社では仕事に対して意識の焦点が向かうだろう。太陽や火星の出番である。
寝るときには意識の焦点は拡散していくが、夢を見るときには、再びゆるく焦点化する。夢を見ているとき、人は無意識の世界を覗きこんでいるのだが、そのような意識の焦点の状態は海王星が表している。一方、水星は知覚力を表しており、海王星と水星が重なるといわゆる霊能力のような能力を発揮するかもしれない。(その霊能力が当たるかどうかはともかくとして)
こんな具合に、わたしたちの意識はその焦点を次々と移動させており、占星術ではその向かう先が10種類あると考える。それを、「恋するわたし」「1人のときのわたし」「仕事のときのわたし」「夢見ているときのわたし」……といった具合に10人の「わたし」がいると表現してもいいだろう。人生がドラマだとすれば、天体は役者だ。
ドラマの役柄に善人と悪人が欠かせないように、天体にも吉星(ベネフィック)と凶星(マレフィック)がある。ただし、現代の占星術では天体の象意の多重性を重視して、単純に吉凶を判断することはない。また、古典占星術でも各ハウスの支配星として天体を考えるときには、それが吉星か凶星かは考慮せず、天体が居心地のいいサインにいるかどうかを重視する。
参考までに吉凶の分類はこうなる。
吉星:月、金星、太陽、木星
中立:水星
太陽系の天体
人生ドラマの焦点となる「10人の役者=わたし」がいて、それぞれの役柄をサインが示す演出方針に沿って演じている。また、いくつかの役柄については、家族など身近な人物や、特定の物事、状況に演じさせていることもある。たとえば、女性にとって、彼氏は火星で夫は太陽であったりする。男性にとって、彼女は金星で妻は月であったりする。また、父が太陽で母が月、という対応関係もある。
占星術が個人の内面ばかりでなく、人間関係や人生で遭遇する出来事をも占えるのはそのため。人生ドラマのすべてを能動的に作り出すのが天体の働きである。
周回運動をしている天体は、その速度に応じて対応する意識や物事が異なっている。公転周期の短い天体は、毎日変化するようなタイムスパンの短い物事やそこにかかわる意識に影響し、その逆に公転周期の長い天体は数百年かけて変化するような物事やそこにかかわる意識に影響を与える。
たとえば、月の公転周期は生体のサイクルと同期していることから、体や感受性と深く関係してくる。日常生活や日々移ろう気分や感情などがそれだ。そのようなサイクルが短い物事は比較的短期間で何度も体験することになるため、成長段階の早い時期に、その天体の位置するサインやハウスに関連する性質が身に付いたり、関連する出来事が起きたりする。占星術で、月が0歳から7歳までの年齢域に対応しているのはそのため。
一方、人の一生の間に軌道を1周すらしないのが冥王星。公転周期が約248年であることから、それは個人を超えたサイクルで動く物事や意識領域と関係する。個人の意識がそこに焦点化するのは難しく、その存在に気づくことすらできない。深層意識と呼ばれる領域がそれにあたるが、まれにこの意識を使いこなしている人がいる。そういう人は個人の領域を超えて100年後、1000年後の未来を考えている。「国家百年の計」というやつだ。
こういう人物は深層意識を使いこなして大衆へアピールする強烈なカリスマ性を発揮し、大きな物事をなしとげるだろう。これはあくまで占星術的な説明だが、それを抜きにしても決して間違ってないと思う。
参考までに、天体についてのツイートをいくつか貼っておこう。
初期ウィルバーの考え方でいうと、プレローマ段階は牡羊座、ウロボロス段階は牡牛座、テュポーン段階は双子座、ケンタウロス段階は蟹座~山羊座、それ以上のトランスパーソナルな段階が水瓶座と魚座に該当するように思える。配分のバランスがいまいちだけど。
— 神谷充彦 (@mitsuhikokamiya) 2015, 1月 8
さらに、天体では、水星と金星がウロボロス段階、地球(占星術は地動説なので太陽に反映される)と火星はテュポーン段階、木星と土星がケンタウロス段階、天王星が下位微細段階、海王星が上位微細段階、冥王星が元因段階にあたるのでは。プレローマは惑星が生じる以前の状態。
— 神谷充彦 (@mitsuhikokamiya) 2015, 1月 8
占星術における太陽は金(ゴールド)の象徴。そして、恒星になりこそねた木星は金(マネー)の象徴。
— 神谷充彦 (@mitsuhikokamiya) 2015, 2月 4
しかし、占星術的には、太陽から離れた天体ほど公転周期が長くなり、より遠大な視点の物事に関係してくる。つまり、視野が広くなるということで、これを物質性から離れていくことと考えていいだろう。つまり、高次化していくということ。
— 神谷充彦 (@mitsuhikokamiya) 2015, 2月 5
これは物質的に希薄なほど精神性が強くなるという考え方に合致する。ちなみに、占星術における太陽というのは、地球から見た太陽のことなので、太陽を中心に見たときには地球のことを指す。
— 神谷充彦 (@mitsuhikokamiya) 2015, 2月 5
太陽と地球と月は存在レベルが異なる。存在するコスモスが違うといってもいい。(もちろん視点を変えれば同じコスモスとして語ることができる。モデルの範囲をどう設定するかという問題なので)
— 神谷充彦 (@mitsuhikokamiya) 2015, 2月 6
つまり、太陽が恒星のレベル、地球は惑星のレベル、月は衛星のレベル。
そうなると、月と太陽の位置関係による満ち欠けというのは、三つのレベルが交錯した結果ということになり、占星術においてはこれが基本の構造となって、さまざまな事象が生起してくると考えてもよさそうだ。
— 神谷充彦 (@mitsuhikokamiya) 2015, 2月 6
これは、マカバ立体が回転して世界を創造するという話にもつながってくると思う。もしくは、見る者・見られる者・見るということ、の三位一体の話とか。
— 神谷充彦 (@mitsuhikokamiya) 2015, 2月 6
意外と天体のツイートが少ないし、あっても変化球的なものしかないということに気付いた。