占星術における「サイン」とは何か
占星術における重要な座標系に黄道12星座がある。「牡羊座」「牡牛座」というあれだ。正確には星座ではなくサインといい、春分点を起点にして、きっかり30度ずつに区分けされている。また、歳差運動により実際の星座とも位置がズレている。そこで、正しくは「牡羊サイン」「牡牛サイン」というのが正解なのだが、ここでは便宜的になじみの「○○座」という表記法をとる。
さて、太陽は1年をかけて黄道12サインを1周するため、サインは季節の変化と関連づけられている。そして、季節は空気感や雰囲気と関係することから、ハウスや天体に色づけを与えるものとしてサインは理解されてきた。ホロスコープを演劇に例えた場合に、サインが「演出」にあたるのはそのためだ。(古典占星術ではサインの扱いが若干異なるが、ここでは触れない)
そのサインは大きく3つのグループに分けられる。
季節の始まりで天候変化の激しい時期(牡羊座、蟹座、天秤座、山羊座)は活動(カーディナル)サイン、その季節の性質が安定する時期(牡牛座、獅子座、蠍座、水瓶座)は固定(フィックスド)サイン、季節の終わりでゆっくりと次の季節の雰囲気が始まってくる時期(双子座、乙女座、射手座、魚座)は柔軟(ミュータブル)サインとそれぞれ呼ばれる。
各サインは1つ前のサインへのアンチテーゼであると同時に新たな進展だ。そこで、活動サインが起こした流れを固定サインが安定させ、柔軟サインが前の2つのサインを調停して両者を生かす道を模索すると考えればよい。ここでいう「活動」「固定」「柔軟」のことを質(クオリティ)と呼ぶ。
◆質(クオリティ)の象意
活動・・・物事を始める積極性、勢い、活発、攻撃性
固定・・・持久力、維持、安定、停滞、頑固
柔軟・・・調整、調停、変化、温和、優柔不断
また、各サインは4元素(火、地、風、水)としても分類されている。この4元素と3つの質が組み合わさって12パターンの性質を形成すると考えると、12サインの象意を覚えることはさほど難しくない。
◆元素(エレメント)の象意
火・・・【上昇する力】意思、向上心、高揚
地・・・【固める力】肉体、五感、所有
風・・・【広げる力】思考、知識、客観性
水・・・【融合する力】感情、愛情、受容
12サインは、奇数番目の奇数サイン(男性サイン)と偶数番目の偶数サイン(女性サイン)としても区分できる。基本的には、前者は他者や環境への働きかけへ向かうサインで、後者は自己の内面を満たすことに向かうサインだといえる。
また、前半の6つのサイン(牡羊座~乙女座)は個人の育成に、後半の6つのサイン(天秤座~魚座)は社会性の育成にかかわり、12サイン全体で自我の成長プロセスを表している。
支配星(ルーラー)についても触れておこう。
各サインにはそれぞれ対応する支配星(惑星、太陽、月)があり、ホロスコープの解読にあたってこれが重要な鍵となる。
◆サイン別支配星
牡羊座…火星
牡牛座…金星
双子座…水星
蟹座…月
獅子座…太陽
乙女座…水星
天秤座…金星
射手座…木星