ホロスコープは何を示しているか
天体の運行が地上の人々や出来事に及ぼす影響を読み解く方法が、古代バビロニアの時代から今に伝わる占星術だとすれば、そのホロスコープには何が記されていて、そこから何を読み解けるのか?
まず、「ホロスコープは空間を記録したもの」だと考えてほしい。その絶対座標は12サイン、いわゆる黄道12星座。西洋占星術でいうサインと星座は少し違うのだが、ここでは深入りしない。ここでは「あなたは○○座生まれ」というときの「○○座」とサインを同じものと考える。各サインは30度、全12サインで360度となる。
一方、地上からの方向を示すのがハウスだ。ハウスは黄道を分割するものであり、太陽でいうと、日の出間もない方向が12ハウス、そこから少し上がって11ハウス、正午前が10ハウス、正午を過ぎると9ハウス……というように、日の出直前の方向の1ハウスまで続く。
マハトマ・ガンディーのホロスコープ
ホロスコープは地上から見た天体(主要な惑星と太陽、月)を天動説的にとらえ、それを黄道360度にプロットしたものだ。そこでは、不動の太陽も移動する。見かけ上の移動である。
その見かけ上の移動では、太陽は1年かけて黄道を一周し、1日でハウスを一周する。黄道上の移動は地球の公転に、ハウス上の移動は自転によるものだ。
出生時のホロスコープであるネイタルチャート(ラディックスとも)は、その人が生まれた瞬間の大宇宙の空間的な記録であり、同時に小宇宙としてのその人に刻み込まれた記録。それは、パラケルススのいう「人間の体内の星」である。
天と地の照応
次に、「ホロスコープは時間を記録したもの」と考えてみよう。特定の年月日、時間、場所において、地上の観察者から見た天体の位置を記したものであれば、これを「天空にかけられた巨大な時計」と考えてもいい。その場合、時計の「時計盤」はサインとハウス、「時計の針」は占星術で用いられる各種の天体となる。
結論:ホロスコープは空間と時間を記録したものである。
そこで、出生時のチャートは、その人が空間と時間から成るこの世界をどのように捉え、そこでどのように生きていくかという根元的なプログラムを示していると考える。そのプログラムから個々人の人生ドラマが生じてくる。
また、これらのことから、占星術はほかの占術と比較して、空間と時間を読み解くことに強いといえる。つまり、「いつ」「どこ」で何が起きるかということを限定するのが比較的得意なのだ。