Astrology_Arcturus

西洋占星術と精神世界の冒険

アメリカ経済に混入した異物=冥王星

冥王星コンスピラシー 第2巻」より一部抜粋。

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土星が最外殻惑星であった時代(~1781年)における政治体制の最終形態が立憲君主制だとすれば、天王星最外殻の時代(1781~1846年)は民主主義と資本主義の時代、海王星最外殻の時代(1846~1930年)は資本主義が帝国主義と結びついた時代、冥王星最外殻の時代(1930年~)はグローバリズムの時代であったといえよう。

 

そのグローバリズムの主役は、冥王星を発見したアメリカ合衆国とそこに巣食う軍産複合体である。軍産複合体とは簡単に言えば「戦争ビジネス」のこと。これは陰謀論などではなく周知の事実だ。

 

では、冥王星の発見と時を同じくして世界の覇者となったアメリカは、占星術的にはどのような国なのだろうか? ここでまずは、アメリカの始源図(国の誕生日のホロスコープ)を検討してみよう。

 

(中略)

 

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◆アメリカ始原図(ホロスコープの計算及び描画は占星術ソフト Kepler(Cosmic Patterns Software Inc.製)で行っています)

 

まずは国民やその世論を表す第1ハウス。このハウスに天体はないが、射手座から始まっていることから、オープンで快活、かつ大ざっぱなところのある国民性が示されている。射手座の支配星の木星が外交と関係する第7ハウスに位置しているのは、国民の興味が外交問題へ向かいやすいことを意味している。

 

大衆を表す月が第3ハウス・水瓶座にあることにも注目したい。第3ハウスは「マスコミ」を、水瓶座は「電波」を表すことから、テレビやラジオに熱中する国民性がここに示されている。これは現状を見れば納得のいくところだろう。

 

ただ、隠れた権力者を意味する第8ハウスに位置する水星(=情報操作)との間で、この月が150度(=調整作用)のアスペクトを成していることから、その情報は権力者の都合のいいように「編集」されたものだといえる。

 

これもまた、湾岸戦争イラク戦争アルカイダやISとの対テロ戦争における報道を見れば誰もがうなずけることだ。アメリカの独立当時にはラジオもテレビもなかったが、未来の姿はここに明瞭に表れていたのである。

 

次に政府について見てみよう。政府・与党を表す第10ハウスには規律を表す土星があり、高度に整備された選挙制度によって国民の総意をくみ上げるシステムが確立していることがうかがえる。ただし、土星が太陽と90度のハードアスペクト(凶座相)となっていることは問題だ。太陽は大統領を表しており、一見、民主的な国家と見えていても、大統領はその意に反した施策を行いかねないということになる。

 

さらに、太陽(大統領)は第7ハウス(同盟国や敵対国)にあり、外国のいいなりと考えてもいいだろう。そして、第8ハウスの少し前に位置していてその影響を受けていると考えるなら、その背景には「隠れた権力者」(=8ハウス)がいることになる。

 

「超大国アメリカが外国のいいなり? そんなバカな」

 

そう反論したい人もいるだろう。だが、この始源図がまさに「真実のアメリカ」を示していることを、おいおい明らかにしていこう。

 

第7ハウスには太陽のほか、木星、金星、火星が位置しており、天王星も実質的にはその影響下にある。ここからは、外交において世界をリードしているように見える一方で、その実、他国に翻弄されている様子が浮きあがってくる。

 

特に軍事力を表す火星が第9ハウス(宗教・理念)の海王星(=幻想性)と90度のハードアスペクトを成していることは問題だ。9・11テロの直後、当時のジョージ・W・ブッシュ大統領(1946年~)に「テロと戦う十字軍」という失言があったが、それは失言というより単に本音が表れたに過ぎない。自国の理念を他国に押しつけるという意味では、世界各地に散らばる米軍と十字軍との間にたいした違いはないはずだ。

 

さらに、この始源図で問題なのは、国家財政や金融政策を表す第2ハウスに冥王星が位置することだろう。

 

冥王星には「極限」「異常事態」「核兵器」といった意味があることから、そこには経済面での強烈な所有欲と、何か「違法な収入源」が象徴されていると読めるのだ。冥王星が株や為替の取引と関係する水星と180度のハードアスペクトを成すことを考えると、その収入源の1つは金融情勢を混乱させることによる利益だと考えられる。

 

たとえば、1980年代後半に日本で起きたバブル景気は、1985年の「プラザ合意」によってアメリカが意図的に仕掛けたものともいわれ、そのバブルがはじける直前に、極限まで膨らんだ株価で株を売り抜けて莫大な収益を上げたのはアメリカの証券会社であった。つまり、彼らはアメリカ政府と結託して日本から大量の富を奪い去っていったのだ。

 

資本主義の世の中では、そんな駆け引きは当たり前。しかし、軍隊と産業界が密接に結びついた軍産複合体の存在はどうだろうか? アメリカは世界最大の武器輸出国である。これは、第2ハウスに冥王星を持つ国にふさわしいと所行だといえよう。

 

さらに、冥王星には「異物」「毒薬」という意味があることにも注目したい。筆者はこれを「アメリカ的でないもの」の侵入と読む。それはすなわちヨーロッパ系の国際金融資本、世界の富という富を牛耳ると言われているロスチャイルド財閥の影響力である。 

グルジェフとクロウリーの語る「シリウス」

 

冥王星コンスピラシー 第2巻」より一部抜粋。

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さて、西洋における現代のオカルティズムに強い影響を与えた人物として、ゲオルギー・イヴァノビッチ・グルジェフ(1866~1949年)とアレイスター・クロウリー(1875~1947年)についても触れておくべきだろう。

 

 グルジェフといえば、『ベルゼバブの孫への話』(平河出版社)という難解な寓話が有名だ。これは、「人類の進化を助けるために援助を続けている異星人の語り」とされるものが延々と述べられる小説で、奇妙な造語と複雑な言い回しによって、教えの核心が幾重ものヴェールに包まれる形となっている一種の奇書である。

一見すると訳の分からない「電波本」でしかないが、ヘルメス学やグノーシス思想などをある程度理解している者が読むと、その意味するところがじわじわ見えてくる。そう、これはある種の「暗号文書」なのだ。

 

グルジェフはこの本の執筆中、少し考えれば意味が分かるような部分をより難解に書き換えていったのだが、その際、周囲の弟子たちには「より深く『犬』を埋めるために」書き換えるのだと告げており、弟子らはその「犬」はシリウスのことだと理解していた。つまり、シリウスからもたらされた教えを、それと分からないように隠すという意味である。

 

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◆臨終時のグルジェフ

 

一方のクロウリーシリウスとのかかわりをより直接的に示唆した。

彼は、シリウスを「太陽の背後に隠れた太陽」と呼び、それこそが自身の魔術的磁場の源泉であると考えていた。さらに言うと、彼の設立した魔術結社「銀の星(A∴A∴)」という名称そのものがシリウスを表しており、また、彼の代表的著作である『法の書』(国書刊行会)では「神は犬に宿り給うや?」と直截的に表現している。ここでいう「犬」とはもちろんシリウスのことだ。

 

アリス・ベイリー、フリーメーソン、神智学、グルジェフクロウリー――彼らが本当にシリウスの知性体とコンタクトしていたのかどうかは分からないが、少なくともシリウスという星に強烈に魅了されていたのは確かであり、彼らの教えが西洋における新宗教や世界中に広まるニューエイジ運動の土台になったことは疑いようのない事実である。

 

さらに重要なのは、フリーメーソンを介してシリウス信仰が一部の国の政策決定に関与している可能性があるということだ。これにかんしては、占星術における冥王星の働きとも関連する驚くべき事実を次章で明らかにしていこう。

 

土星以遠天体(トランスサタニアン)の象意と発見時の社会情勢

 

冥王星コンスピラシー 第2巻」より一部抜粋。

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 ここで、土星外惑星の神話とその占星術上の象意などについて簡単にまとめておこう。

 

天王星-ウラヌス】

 《神話》

 天王星の名はギリシャ神話の天空神ウーラノスに由来する。ウーラノスは大地の女神ガイアの息子であると同時に夫でもあり、ガイアとの間に巨躯を誇るティーターン12神をもうけた。しかし、ウーラノスは自らの子のうち、キュクロープスやヘカトンケイルについては、その醜さを嫌いタルタロス(奈落)へ幽閉。それに怒ったガイアはティーターン12神の末弟であるクロノスに命じてウーラノスの男根を切り落とさせた。

 

天王星発見時の世相》

 王制から資本主義・民主主義へ。ドイツのロスチャイルド家が各国に戦費を貸し付けるビジネスで成功を収めて莫大な富を得たことで、国際金融資本が世界情勢を左右する構造が作られた。その一方で自由と平等を求めてアメリカ独立戦争フランス革命が勃発。天王星発見の年、ヨークタウンの戦いにてアメリカの勝利が確定する。

 

《象意》

 天王星土星が象徴する「ローカルな社会の枠組み」に改革の風穴をあける存在。それは、既存の枠組みを壊しつつ、グローバルな視野を確立する働きをなす。自由、改革、博愛、平等、先進性、国際性、テクノロジーといった象意を持つが、既存の社会秩序を維持しようとする側からはエキセントリックな反逆性と映ることになる。現代において天王星はITやインターネットという象意を持つこともある。

 

 なお、神話においてウーラノスの男根を土星と対応するクロノスが切り落としたことは、天王星の象徴する改革精神をローカルな社会の枠組みが去勢してきた歴史と照らし合わせると大変興味深いところだ。その意味で、1781年の天王星の発見(正確には再発見といった方がよい)を「天王星の復権」と考えてもいいだろう。

 

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アメリカ独立戦争

 

 

海王星-ネプチューン

《神話》

 海王星の名はローマ神話における海神ネプトゥヌスに由来する。この神はギリシャ神話の海神ポセイドンと同一視されており、三叉の矛によって大地を打ち、そこから泉があふれ出したという伝説を持つ。ケルト神話、イラン神話、インド神話にも同様の伝説を持つ神が伝承され、同一起源の神格だと考えられている。

 

海王星発見時の世相》

 帝国主義の興隆と産業革命の加速化により資源としての石油のニーズが高まる。このころ活躍した石油王ジョン・ロックフェラー(1839~1937年)とその一族は後に世界的な国際金融資本としてのロックフェラー財閥を成すことになった。

 この時代には社会主義運動も盛んとなる。また、爛熟した文化は百花繚乱の様相を見せ、ロマン主義、世紀末思想、神智学や黄金の夜明け団などのオカルティズム、SFなどが流行し、映画とレコードの発明はそれに拍車をかけた。

 さらに、化学、物理、生物学などが著しく発達し、化学合成が工業技術として確立したほか、心理学の分野では無意識の領域を扱うフロイト心理学が現れた。3次元を越えた4次元の世界を数学的に記述するリーマン幾何学もこのころに登場している。

 

《象意》

 海王星は「水」が象徴する無意識の世界に漂うイマジネーションを、顕在意識へと注ぎ込む存在である。それは、人にある種の夢と幻想を与えて熱狂や流行を生み出し、社会の枠組みそのものを溶かし去る働きをするが、既存の社会秩序を維持しようとする側からは退廃的な耽溺性と映るだろう。具体的には、新宗教やオカルティズム、ファンタジーや芸術のほか、石油、化学、薬剤、アルコール、ドラッグなどを象徴する。

 神話における「大地」を土星の象徴する「社会の枠組み」と考えるなら、海王星の象意をより正確につかめるはずだ。ローカルな社会の地層の下に流れている集合的無意識の層を三叉の矛で打ち、地上にそれをあふれさせるのが海王星の働きなのである。

 

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 ◆H.G.ウェルズ宇宙戦争』のイラスト

 

 

冥王星-プルート】

 《神話》

 冥王星の名はローマ神話における冥府神プルートーに由来する。これに対応するギリシャ神話の神ハーデースは冥府をつかさどる神であり、ポセイドンとゼウスの兄にあたる存在。ハーデースは出生直後、「生まれた子に権力を奪われる」という予言に恐れた父・クロノスに飲み込まれてしまうが、ゼウスに助けられてクロノスらと戦い勝利。結果、冥府と地底の支配権を得ることになった。なお、ハーデースには豊穣神としての性格もある。

 

冥王星発見時の世相》

 冥王星発見に前後して2度の世界大戦が勃発し、世界のパワーバランスは大激動を迎える。中でも第二次世界大戦は、冥王星発見と同時に起きた世界恐慌がその直接的なきっかけとなった。大戦後、世界初の核兵器を開発したアメリカが世界の覇者として超大国化し、大量生産・大量消費のライフスタイルを世界中へ発信して、経済のグローバル化の下地を作ったことも特筆すべき点だ。

 冥王星発見後、科学の発展はますます加速し、飛行機、潜水艦、ロケット技術などの発達によって、地球上に人類未踏の地はほとんどなくなった。科学分野において特に重要なのは冥王星発見前後に確立した量子力学である。中でも、ハンガリー出身の物理学者ジョン・フォン・ノイマン(1903~1957年)は重要なキーパーソンだ。

 冥王星発見の年にアメリカへ移住した彼は、原爆を開発するマンハッタン計画の主要メンバーの1人となったほか、コンピューターの作動原理における数学的基礎を築いた。そのため、現在の一般的なコンピューターはすべて「ノイマン型コンピューター」と呼ばれている。

 

《象意》

 冥王星は既存の世界を徹底的に破壊しつくして、そこに新生をもたらす存在である。神話におけるプルートーが冥府神であると同時に豊穣神であることに注目してほしい。また、プルートーがクロノスを倒したという点も重要だ。クロノス(土星)はローカルな社会の枠組みを象徴しているのだから、冥王星は既存の社会を徹底的に破壊しうる存在だといえよう。

 そのことから、占星術における冥王星は、激動、大異変、大変動、死と再生、破壊と新生、極限、核兵器といった象意を持つことになった。

 

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◆長崎原爆

 

 どうだろうか。まさに土星外惑星発見後の世界は、激動につぐ激動の展開だったとはいえないだろうか。

天王星の発見が王制から資本主義へのシフトを起こし、海王星の発見が既存の宗教や倫理観を衰えさせ、冥王星の発見は核とコンピューターの技術によってアメリカ主導のグローバル化の端緒を開いたのだ。

 中でも冥王星の存在感はあまりに大きい。核兵器が地球から生命を一掃しうる究極兵器であることを考えると、まさに近代の世界は冥王星に支配されていたといってよい。

 

 繰り返しになるが、土星外惑星がもたらすこういった異変を単純に「凶意」ととらえてはならない。特に、最外殻に位置する冥王星は「外部からの新しい力を取り込む弁」として、人類に新陳代謝をもたらすのである。その「新しい力」は、既存の権威や秩序や価値に固執する人にとっては脅威を感じさせる「異物」だが、柔軟な心を持つ人にとってはむしろワクワクするような変化の原動力となる。

 土星が最外郭惑星であった時代を「土星支配の時代」とするなら、冥王星が発見された1930年以降は「冥王星支配の時代」と呼ぶことができよう。

 

「冥王星コンスピラシー 第2巻」発売中

 

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◆目次はこんな感じ。

 

第2章 占星術はどうして「当たる」のか? 占星術の基礎知識
国家の命運を占うにはどうするか
1994年11月の日蝕が引き起こした2つの悲劇
第二次世界大戦の裏に「占星術戦争」が!
星座は集合無意識を反映した世界共通の象徴言語
惑星名には天意が絶妙に反映されている
実験で証明された天体との天地照応
天地照応を説明する科学的仮説
占星術の有効性を示す厳密な統計研究

 

 

第3章 近代世界は冥王星に支配されていた!
土星外惑星はなぜ「凶星」か?
社会システムの大変革にシンクロする土星外惑星の発見
土星支配の時代から冥王星支配の時代へ
冥王星」と「犬」と「シリウス」のつながり
ドゴン族のシリウス伝承

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シリウス信仰こそが西洋のスピリチュアリティの礎
フリーメーソンシリウス信仰
世界は陰謀によって動かされているのか?
グルジェフクロウリーの語る「シリウス
冥王星が動くとき世界に激震が走る!
冥王星は世界情勢へ度重なるインパクトを与えた
冷戦終結が新たな脅威を呼びこむ!
1999年に起きた「グランドクロス」の意味
世界金融危機――冥王星発見時の悪夢ふたたび

 

第4章 アメリカが飲み干した禁断の霊薬「冥王星
アメリカ経済に混入した異物=冥王星
アメリカの「誕生日」はいつか?
超大国アメリカの「真の支配者」は誰か
「迷妄的な陰謀論」を排したところに見えてくる真実
フリーメーソンイルミナティの微妙な関係
フリーメーソン国家アメリカ

 

 

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ワシントンDCとニューヨークに隠された「シリウス=イシス信仰」の暗号
自由の女神像の正体は「イシス像」だ
魔術数「33」「333」「666」の暗号
東京に仕掛けられた「333の呪い」
第三次世界大戦は19世紀にはすでに計画されていた!?
近代世界はロスチャイルド家が動かしてきた
ロスチャイルド財閥とロックフェラー財閥の関係
ロスチャイルドの「星」がアメリカを従属させる
そしてふたたびシリウス

 

 

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◆紙の本で110p相当で、お代は99円。第1巻と合わせて198円。

 

 

新刊本「ハーモニクス占星術」(仮題)からの抜粋(その3)アドルフ・ヒトラー編

fr-kamiya.hateblo.jp

 

新刊本「ハーモニクス占星術」(仮題)から、アドルフ・ヒトラーハーモニクス分析のくだりを抜粋する。

 

ここではネイタルチャートの詳細は解説しませんが、全体としては穏和な印象であり、世界に大混乱を引き起こした人物にはとても見えません。第3ハウスにある月と木星の0度は大衆ウケのする演説能力(3ハウス)を意味しますが、カリスマ性とまではいかないでしょう。

 

ところが、権力欲求と関係する第8調波と重ねてみると、不穏な雰囲気が漂いはじめます。

 

第8調波の天王星冥王星の発芽はある種の革命思想を表します。それが、ヒトラーの大衆受けする演説能力を象徴する月と木星の0度に対して120度となり、革命を煽るような演説能力と化しています。これが、彼の権力欲求とリンクするのです。

 

第16調波は、「破壊的な出来事からどう回復するか」ということがテーマになります。ヒトラーの場合、第一次世界大戦で敗北し、戦争賠償金による経済的苦境に苦しんでいたドイツ国民に対して、民族の誇りの回復と経済復興の希望を与えたことで絶大な権力を手にするに至っており、この第16調波の状況がよく表れているといえそうです。 

 

では、第8調波と第16調波を満年齢調波として考えるとどうでしょうか。

 

ヒトラーは8歳のときに聖歌隊に属し、将来は聖職者になることを望んでいたそうですが、これは第8調波のa太陽とf木星のQ180度と関係しているでしょう。f木星は時として「聖職者」を表すからです。

 

16歳のときに彼は、成績不振と不品行が原因で自主退学しますが、このころ彼はよく陶酔状態となり「いつの日か自分に委ねられる特殊な運命」について炎のごとき勢いで友人に語りました。また、妹や母親に対して歴史と政治の講義をしていたともいわれます。

 

第8調波のテーマは、そこに他者の介入(多くは妨害)が加わることを経て、第16調波に引き継がれます。ヒトラーの場合、彼が8歳時に抱いた「聖職者になりたい」という願いは、学業の失敗などを経て、この第16調波=16歳時において別の形で実を結んだといえるでしょう。

 

第16調波はタロットの大アルカナ16番「塔」に対応していますが、このカードで塔に落ちる雷は「神がかったインスピレーション」にも関係します。彼の場合、その「神がかり状態」が後に社会的権威を得ることに寄与したことは言うまでもありません。

 

 

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